【鎌倉殿の13人】第11話の冒頭は、八重を義時の嫁にという話から始まりました。
当然、政子はおもしろくありません。(八重は頼朝の前妻であり、頼朝との間に千鶴丸をもうけていました。)
そんな女を義時の嫁(=頼朝のそばにおく)にするわけにはいかないのです。
当事者である八重がいないところで話が進んでいますが、ここで実衣が「八重さんはどう思ってるの?」と問いかけます。
これに対し義時は「それは心配ない。あの人は私のことをとても頼りにしている。」と答えるのですが。
あちゃ~、なんでそう思っちゃうのかね。頼りにしている=嫁になってもいいという短絡的思考が義時の甘さなのかしら。
八重は愛する佐殿のためなら、命をかけて仕えてくれる義時を頼りにしてるだけなのにね。
そして八重の思いは……
「お断りします!」
これにて義時の初恋(おそらく)は、はかなく散ったのでした。
【鎌倉殿の13人】第11話 あらすじ
挙兵の年の暮れ。頼朝は力を蓄えている。
打倒平家の旗の下、鎌倉に集う新たな面々。
真に頼れるのは誰だ。
―オープニングナレーション引用
三谷幸喜の技がちりばめられた伏線
梶原景時の登用
義時が頼朝のところへ出向き政(まつりごと)が大がかりとなり、自分ひとりでは負えないため、急ぎ人をそろえるべきだと進言します。
すると頼朝は実は1人気になっているものがいると…。
石橋山で見逃してくれた梶原景時です。
義時はすぐさま梶原景時の館へ赴き、説き伏せに行きます。
すると景時は「わしは頑固で融通が利かない。人の間違いをいちいち正さなければ気が済まぬような男。かえって足並みを乱すようなことになっては申し訳ない。」と言うのです。
が、結局頼朝の家人となるのです。
はい、これ重要です。この言葉覚えておきましょう。伏線ですよう!
これからの梶原景時の振る舞いの根本となる人間性を表しています。
義経との確執はこういった根本的な人間性の違いからきたようなものです。
りく(牧の方)の心情
上総広常が御家人筆頭のような振る舞いをし、続いて梶原景時が鎌倉殿(これ以降頼朝を鎌倉殿と呼ぶようになります)の信任厚く侍所の所司に任ぜられると、りくさんは悔しくてしょうがありません。
鎌倉殿の舅である夫・時政が軽んじられているように思えてならないのです。
当の時政はまったく気にしてないようなのですが^^;
それがまた不満となっていき、いずれその思いが爆発してしまいます。
亀の屋敷を打ち壊す事件にもどうやら関わってきそうです。
また、のちにりくさんは畠山重忠や源実朝の事件にも関わっていきます。
今回の嫉妬心はそういった事件の序章といったところです。
義経の嘘
頼朝たちの叔父源行家が、清盛が死んだ今こそ、平家打倒の出陣をすべきだとやってくるが、鎌倉殿は相手にしません。
弟たちも兄に従う意向です。
義円は京で叔父に世話になった分申し訳ないと義経の前で漏らします。
義経は兄弟でありながら、武芸に優れ和歌をたしなみ教養もある義円が目障りで仕方ないのです。
嘘をついて行家に従わせようとします。
最期に義円が鎌倉殿に書いた文も、必ず渡すと言いながら破り捨ててしまいます。
三谷幸喜が描こうとしている義経は、母の愛を知らずに育ち愛に飢えた男という感じを受けます。
それゆえに卑怯なことも平気でできてしまうのでしょう。
今まで何度も描かれてきた義経とは違う視点が、とても興味のわくところです。
文を破り捨てたところを景時に見られて、拾い集められてしまいます。
もちろん、景時は鎌倉殿に報告します。
兄に叱責され謹慎を食らう羽目になった義経と、人の間違いは正さなければ気が済まない景時。
ここにも伏線がはられたわけです。
義円は、「吾妻鏡」と「源平盛衰記」では頼朝と合流したのかどうか意見が分かれるところです。
こういうはっきりしない史実はどちらをとってもたいして変わりなく、義円は墨俣川で死んだという史実を元に、義経の嘘を創作し絡めていくところに、三谷幸喜の脚本家としての能力の高さ、天才さを感じざるを得ないのです。
伊東祐親の死
政子の懐妊
世継ぎを早く生みたかった政子にようやく懐妊の兆しが表れます。
険しい顔になると男の子だと聞けば、険しい顔にする政子さん。
小池栄子さんだけに笑いは倍増します(≧▽≦)
世継ぎを生むために徳を積むのはどうか、それなら戦で捕らえたものを解放するのはどうだろうということで、恩赦が決定します。
え⁉待って!!
伊東祐親は助命嘆願を受け入れず、自害して死んだんだよね⁉
以前書いた記事が噓っぱちになっちゃう!と私は焦りましたよ。
伊東祐親の死
じさまは穏やかになられて、以前の怖さや威厳がなくなっちゃってるよと不安になった矢先のこと。
あの伊東家が雇っていたAssassin善児が捕らえられたではありませんか。
畠山重忠が調べると持っていたものの中に北条宗時の持ち物があり、彼を殺したのはこのものではないかと梶原景時に伝えます。
堅物の景時はもちろん鎌倉殿に報告に行きます。
そのころ、鎌倉殿は全成に「生まれてくる子のためには千鶴丸が成仏しなければならない。命を奪った伊東殿が生きている限り、千鶴丸の成仏は難しいかと。」と進言されます。
そこへやってきたのが梶原景時です。
鎌倉殿は伊東祐親の誅殺を命じ、景時は善児に事を成し遂げさせます。
義時がじさまの死を知ると、景時は自分が迎えにやってきた時には自害していたと言いはります。
そんなことがあるわけがないと鎌倉殿に真偽を問いに行くと、「知らん、伊東祐親は意地を通したのだ。あっぱれな男よ。」と称えるではありませんか。
あくまでも祐親の自害を貫き通します。
これも史実では、三浦義澄の助命嘆願を潔しとせず、自害して果てたというだけのことです。
伊東祐親という人物の最期に人間らしさを取り戻させ、もしかしたら誅殺されたのかもしれないよと想像をふくらませ善児と景時を絡めて作る話は、私たちに悲しみと切なさを十分に与えてくれるものでした。
つづく…
三谷幸喜の魅力
三谷幸喜は事実として伝えられている話の奥にある心情を想像し、史実を曲げることなくドラマティックに話を作るのに長けています。
それも観ている私たちがわかりやすいように現代語を多用し、堅苦しくならないように、人間としてありのままの感情を伝えてくれるので、彼の作品に引き込まれてゆくのです。
「お、おいちょっとちょっと!」や「そういうとこあるのよ」なんてセリフは時代劇には似つかわしくないものです。
これを「いや、待てい!」や「いかにもそうである。」みたいなセリフでは心情的に深入りできなくなってしまいます。
私たち現代に生きる一般市民の程度に合わせたセリフは、滑稽であたたかくて泣けてくるのです。
これが三谷幸喜という天才脚本家から目が離せない一因なのです。
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【鎌倉殿の13人】第11話 感想
義村が、八重に振られた義時に「男女の仲なんてものはな、ふられてからが勝負だ」と言ったところです。山本耕史さんが堀北真希さんに猛アタックして結婚したというエピソードがすぐに思い起こされました。三谷さんはこの事を前提にしてセリフを考えたのじゃないかと思っちゃいました。
今回ちりばめられた伏線回収もじょじょに出てくることでしょう。
まずは来週あたり、不満の募るりくさんが絡む亀の前の屋敷打ちこわし騒動が予定されています。
三谷幸喜の作る、悲しくて切なくて面白く人間味のある脚本に今後も期待しようではありませんか。
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