道隆が死んでからの内裏での話題は、次の関白は誰になるのかの一点。
道兼VS伊周の構図の水面下で、女たち(定子VS詮子)の闘いも繰り広げられ…
若き帝、一条天皇の判断に注目が集まる。
第18回人物相関図
【光る君へ】第18話 あらすじ
- 藤原宣孝帰京。まひろは宋へ興味を持つ
- 藤原道兼が関白の宣旨を受けるも、まもなく死去
- ききょうがまひろを訪問し内裏の様子を伝える
- 詮子が道長を関白にと一条天皇に涙で訴える
- 道長は関白を断り、内覧の職を得て右大臣に
- さわとの別れ
- まひろと道長廃邸での無言の再会
藤原宣孝の帰京
長徳元年(995年)4月、筑前守として大宰府に赴任していた藤原宣孝が四年ぶりに帰京します。
土産を持って為時の屋敷を訪れた宣孝に、まひろは宋の国のことを聞かせてとほしいと願います。
博多の津(港)には宋から商人や役人が訪れているため、宣孝は宋について詳しくなったのです。
宣孝の話では、宋には科挙という制度があり、この試験に受かれば、身分の低い者でも政に加われると言うのです。
まひろは大変驚き、宋に憧れを抱くようになるのでした。
関白・道兼死す
道隆の死から10日後、清涼殿では藤原実資と道綱らが次の関白について話をしていました。
実資は年若い伊周よりも天皇の叔父である道兼のほうが適任だと語ります。
この様子を一条天皇が壁の穴からのぞいていました。
一条天皇は道兼を関白にすると決め、伊周に告げます。
一条天皇のまえでは不満を漏らさなかった伊周ですが、定子と二人になると、なんのための入内だったのかと責め立てます。
しかし定子は、伊周に人望がないために帝は関白を任せられないのだと言い返します。
人徳を得よと定子に言われた伊周は、二条第に公卿たちを招き、これまでの出すぎた態度を詫び、心を入れ替えると語るのでした。
道隆の死から17日目の4月27日、一条天皇は道兼を関白とする詔を下しました。
道兼は、関白就任の慶賀奉上のあと、一条天皇に礼を述べに行ったが、体調を崩していたため、帝の前で倒れてしまいました。
疫病に感染していたのです。
七日後、道兼は35歳で世を去りました。
生き方を改め、よい政をしようとしていた矢先の兄の死を、道長は嘆き悲しみます。
まひろも為時を通じて道兼の死を知りました。
あのお方の罪も無念も、すべて天に昇って消えますように…
そう言って琵琶を奏でるまひろでした。
この頃、疫病の勢いは収まらず、道兼の死後ひと月の間に、道長、伊周を除く権大納言以上の公卿は死に絶えてしまいました。
ききょうの訪問
ききょうが、中宮から賜ったというお菓子を持ってまひろを訪ねてきます。
内裏では、次の関白が伊周か道長という話でもちきりだと言うのです。
まひろは、さりげなく道長の政の才について尋ねます。
ききょうは、贅沢を許さず、厳しい道長は、公卿にも女官にも人気がないと答えます。
権勢欲もなさそうなので、道長が関白になることはないだろうというのが、ききょうの見立てでした。
その晩、惟規が大学寮の試験を終え帰宅しました。
惟規は、今、学生たちの間では、『白氏文集』の「新楽府」が流行っていると話します。
作者の白居易は「新楽府」で、民に代わって時の為政者を正していると言うのです。
まひろは興味を持ち、ぜひ読みたいので手に入れてほしいと惟規に頼みました。
後に、さわの父が肥前守に任ぜられたため、さわはまひろに別れの挨拶にきます。
二人が話をしていると、惟規が借りてきた「新楽府」を届けにきてくれました。
詮子、涙の訴え
その晩、詮子が内裏に乗り込み、道長を関白にと一条天皇に迫ります。
一条天皇は伊周に決めていると言うが、詮子は引き下がりません。
お上のお父上は、いつも己の思いをくもうとせぬ関白の横暴を嘆いておいででした。父上の無念をお上が果たさずして、誰が果たしましょう。
天皇が己の信じた政をできるように、若くて傲慢な伊周ではなく、どうか道長を関白にと詮子は泣きながら訴えるのでした。
道長、右大臣に
翌日一条天皇は、道隆の死後伊周から取り上げた内覧の職を、道長に与えます。
そして、それからひと月後には、道長を右大臣に任命しました。
これによって道長は内大臣である伊周を飛び越え、公卿のトップの座に就いたのでした。
実のところ、一条天皇は道長に関白の職を与えようとしたのだが、道長が断っていたのです。
関白になると思うように動けず、存分に働けなくなるという考えを持ってのことでした。
廃邸での二人
まひろは、かつて道長との逢瀬の場だった廃邸を訪れます。
すると、そこに道長も現れたのです。
しかし、二人はともに、何も語らずその場を去りました。
言葉を交わせば、互いへの想いを堪えきれなくなると思ったのでした。
つづく…
用語集 大河ドラマ「光る君へ」第18回
科挙(かきょ)…中国の隋から清末期まで続いた官吏登用制度。
新楽府(しんがふ)…中国、唐の時代に新しく楽府題(がふだい)を立てた詩のこと。楽府とは、漢詩の一形式。
宣旨(せんじ)え…天皇の命令を伝える文書の一種。
大宰府(だざいふ)…九州全体を統治し、外交・軍事を担った地方行政機関。
『白氏文集』(はくしもんじゅう)…中国、唐の白居易(はくきょい)による漢詩文集。
引用元 大河ドラマ「光る君へ」公式ページ特集より
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【光る君へ】第18話 感想考察
久々に登場の太郎ちゃん!
学生の間で『白氏文集』の「新楽府」が人気だと言ってるのに、読んだことがないって😅
元々お勉強が嫌いな太郎ちゃんだもの、当然て言っちゃあ当然よね😆
(試験に出ないってわかっていて読んでないなら、案外合理的な人なのかも🤔)
そんな周りに流されることのない、マイペースなところも太郎ちゃんの憎めないところ!
さわさんに告ってもいないのになぜか振られてるところも、かわいそうだけど可愛くて笑けてくるわ。
結構重めな内容で、太郎ちゃんのいる為時一家のシーンは、唯一ホッとできる私の癒しとなっています。
さて、今回もてんこ盛りな内容でしたが、人物に焦点をあててみたいと思います。
藤原宣孝
四年ぶりに赴任先の太宰府から帰京した宣孝ですが、ちょっとまひろへ向ける目に変化を感じませんか?
まひろに酒を飲ませ、気の利いた返事を受けて「打てば響くような良い女になった。年を重ねて色香を増した」発言から、まひろに女を感じ始めているようです。
(なぜか、いやらしさを感じないんですよねぇ、蔵之介さんが演じると)
唐の紅をお土産として買ってくるところを見ても、会えない間に女性へと成長したまひろを想像していたのかもと勘繰ってしまうほどです。
親戚のいいおじさんからちょっとずつまひろを見る目の変化を演じる蔵之介さんの演技を見ていても、ハッとさせられておもしろいものです。
しかし、まひろの興味は宋の国へと飛んでいます。
興味は異国のことかもしれないけど、その国についての知識を持っている宣孝へも徐々に惹かれていくのかもしれませんね。
この二人が夫婦になるまでの過程が少しずつ積み上げられていく脚本のうまさにもまた一つ驚くのです。
藤原実資
次の関白は誰になるのかと内裏で話している道綱や実資。
実資はこれまでも、筋の通った実直な人で、歯に衣着せぬ物言いをする人だったけど、「出すぎ者の中宮だ!」の一言には驚きました。
誰がどこで聞いているやも知れぬ(実際、一条天皇は聞き耳を立てていましたが…)内裏であんなに大きな声で中宮の悪口を言うとは、見ているこちらが肝を冷やしましたわ😅
たとえ、中宮や帝といえど、筋の通らぬことには黙っていられない性分なんでしょうね。
(こんな時こそ、表面では黙っていて日記に書いときゃいいのにね笑)
道兼のことを好きではないが次の関白は道兼様であるべきと言える実資は、政において好き嫌いを持ち込むことのない絶対的な信用をおける人です。
黒光る君、秋山実資サイコーです😁
藤原伊周
一条天皇から次の関白は道兼だと告げられた伊周は、驚愕の顔を見せますが、帝の前ではなんとか冷静を保ち(目は座っていてこわいけれど…)、決断を受け入れています。
ここで終われば、大人になったね伊周くんで済むんですが…
定子に当たるのはいけませんわ。
自分の人望のなさのせいだということがわかってなく人のせいにするのは、典型的なボンボンの特徴ですね。
蝶よ花よと育てられた長男のボンボンが、人の痛みなどわかるはずもありません。
定子に「もっと人望を得られませ」と言われてすごすごと下がって行ったけど、わかっていなさそうでしたね。
(こういう若造は、早く誰かが鼻をへし折ってやらないとね)
人望を得よと言われ、公卿たちを集めて宴を開くところに、伊周の浅はかさが現れていました。
悔い改めるなら、道兼のように身を持って人のためとなるような政に打ち込むべきでした。
胸糞悪いのは、貴子や伊周、隆家が、道兼の死を喜んでいるようなシーン。
道隆と貴子が作ってきた家庭とは、権力の座に就くためのものであって、そこには家族以外の者をいたわる愛情なんてなかったのではないかとゾッとさせられました。
これからどんどんと没落していくであろう中関白家。
同情の余地を与えてくれる脚本になるのか、ざまあみさらせと思わせる展開になるのか、楽しみが尽きませんわ。
一条天皇と定子と詮子
愛する定子と母・詮子との間で揺れ動いたであろう一条天皇。
母に道長を関白にと泣いて迫られても、かたくなに伊周と決めているとはねのけていましたが、翌日出した答えは道長に内覧の宣旨を与えたものでした。
きっと母の言葉を一晩中噛みしめながら考えていたのでしょう。
詮子は母を捨て后を取るのかと訴えてましたが、これはさすがに効いたようでした。
定子が入内した時にお上の好きなものは何かと尋ねた時に、いの一番に出てきた答えが母上でした。
大好きな母上に母を捨てるのかと言われ、動揺しないわけがありません。
さらに追い打ちをかけたであろう亡き父宮の無念。
母を捨てるのかは感情的になって出た言葉かもしれませんが、父上のことを出して無念を晴らせ、自分のことはどうでもいいお上が己の信じた政ができるようにと願っているとは、詮子の最後の賭けのような気がしました。
一条天皇の性格上、ここまで言ったらわかってくれるはずだと思ってやったことのように思えるのです。
一番強く兼家の血を受け継いだ詮子の一世一代の大芝居、そう考えるのはゲスなことでしょうか😓
(詮子が思いのままに行動する姿や、道長や倫子を一喝する姿にホレボレしてしまうのです)
しかし、最後まで一条天皇は伊周に決めていると言って去ります。
この時の詮子の絶望は計り知れないものだったことでしょう。
道長は、思い切り政ができるようにと関白ではなく内覧にとどまりましたが、これは一条天皇を思いやってのこともあるのではないかと思いました。
関白ではなく内覧宣旨にとどめたのは帝の心遣いであると思わせるために。
帝や定子を思いやった道長とは対照的に、伊周は定子に皇子を産めと迫ります。
父と兄から、呪いの言葉のように皇子を産めと迫られる定子の心を思うと泣けてきます。
入内して何年も子供ができないと役立たずのように言われる后の立場って…😭
定子は思い悩む一条天皇をそばで見ているだろうから、伊周を関白にとは強く言えなかったことでしょう。
お上の寵愛を受けても、お上と兄の間で翻弄される定子の運命は決して幸せなものではなかったでしょう。
そう考えると、周りに流されることなく生きているまひろのほうが幸せなのかもしれないと思えてきます。
藤原道兼
今回何といっても主役を持って行ったのは、藤原道兼です。
演じた玉置玲央さんに拍手喝采を送らずにはいられませんでした。
一話からずーっとダークサイドの人間を演じてきて、道長の言葉でやっと人間らしさを取り戻し、良い政をしていこうと思った矢先の死去です。
疫病に侵されだんだんと生気を失っていくのだけれど、踏ん張って内裏に赴く様は、生き直そうと誓った己へのけじめのようなものを感じて涙を流さずにはいられませんでした。
己の命もこれまでかと思った道兼が、道長を遠ざける姿に心を打たれました。
お前だけは生きて我が家を守れと伝えているのです。
兼家が守ろうとした家です。道隆が守ろうとした家とは違います。
道隆は兄弟をも敵とみなした個人的な家だけど、兼家は藤原家という何代も続くもっと大きな家を守ろうとしているように思えました。
道兼はそれができるのは伊周ではない、道長だけだとわかっているのです。
最後に道兼が唱えたのは光明真言。
先世の業の報いによる病人に対し、宿業と病障を除滅すると言われています。
最期まで過去に犯した罪を悔い、少しでも安らかに逝きたかったのではないでしょうか。
それを聞きたまらず御簾を上げて道兼を抱きしめる道長です。
道兼が唱えた光明真言とまひろの琵琶の音と道長の抱擁によって、道兼は天で恐れることなく安らかに眠っているのだと思えてなりません。
直秀ロスに続き、しばらくは道兼ロスを引きずりそうな玉置玲央さんのしびれるほどの演技に敬意を表したいと思います。
さまざまな困難を経験し、道長が向かったのは六条の廃邸。
そこにはまひろの姿が…。
何も言わず去って行くまひろに全視聴者がつっこんだであろう「帰るのかよ」😆
きっと大石さんはそんなツッコミを肌で感じ、ほくそ笑みながら脚本を書いたのではないかと思わせてくれる、とっても良いラストシーンでした(≧▽≦)
来週からは政権のトップに立った道長や、ききょうのはからいで内裏に登殿するまひろ、そしてとうとう長徳の変への扉が開かれます。
毎回めまぐるしいほどの展開ですが、内容がおもしろいだけに時間があっという間に過ぎてしまう今作。
中盤に向けてのワクワク感が止まりません(>_<)
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