「ともに乱世の夢をみようぞ!」
武士として戦場で命を燃やし尽くすことを選んだ秀頼。
「よくぞ申した」
息子の願いを受け入れ、ともに死ぬ覚悟で徳川との戦に挑む茶々。
大坂は再び戦場と化してゆくのでした。
【どうする家康】第48話 あらすじ
大坂夏の陣
慶長20年(1615年)3月、京で牢人たちが放火や狼藉を働いているという理由をつけ、家康は秀頼に国替えを通告するが、秀頼は拒否します。
同年4月、「大坂夏の陣」の始まりです。
家康は再び20万の大軍で大坂城を包囲しました。
しかし、丸裸にされた大坂城に、もはや勝ち目はありませんでした。
名だたる武将たちが次々と討ち死にする中、真田信繫は家康の目の前まで迫ります。
最後の最後まで家康をてこずらせた真田でしたが、命運尽き華々しく命を燃やし尽くしたのでした。
茶々と秀頼は千を徳川に返すことにします。
私は豊臣の妻じゃ。行くならば、殿も義母上もご一緒でなければ…
お千、余は最後まで豊臣秀頼でありたい。
秀頼とともに生きていきたいと願う千の手を寄せ付けぬ秀頼。
茶々は、迎えにきた初に千を頼むのでした。
命乞い
大坂城から連れ出された千は、家康のもとへ向かい秀頼と茶々の命乞いをします。
千が秀頼のことを、皆に慕われ才のある立派な人間だと言うほど、家康は生かしてはおけぬと思うのです。
すまぬ…
秀頼を生かしてはおけないと、千に言おうとする家康を秀忠が制します。
私が命を下します。将軍として…将軍として命を下す。秀頼には死を申し付ける!
鬼じゃ…父上もおじじ様も!鬼じゃ!鬼畜じゃ!豊臣の天下を盗み取った化け物じゃ!
半狂乱になって泣き叫び去って行く千をじっと見つめたあと、燃える大坂城に手を合わせる家康でした。
茶々と秀頼の最期
秀頼たちが逃げこんでいた山里曲輪も炎に包まれています。
炎の中、茶々や家臣の前で切腹を果たす秀頼。
母上…わが首を持って生きてくだされ。
秀頼は母の手を取り、最後にそう告げ息絶えます。
見事であった…
泣き崩れながら茶々は秀頼を称えるのでした。
次々と秀頼を追い腹を切る家臣たち、大野治長もまた秀頼のあとを追うように自害しました。
日の本か、つまらぬ国になるであろう。正々堂々と戦うこともせず、万事長きものに巻かれ人目ばかりを気にし、陰でのみ妬み嘲る優しくて卑屈なか弱き者たちの国に…己の夢と野心のために、なりふり構わず力のみを信じて戦い抜く!かつてこの国の荒れ野を駆け巡った者たちは…もう現れまい。
戦乱の世で二度の落城を経験し、己の復讐と野望すべてをぶつけ戦ってきた茶々の最後の言葉。
家臣すべての死を見届け、自ら命を絶ち炎の中崩れ落ちる茶々。
壮絶な豊臣家の最期でした。
神の君のはじまり
かくして、ようやく日の本に本当の平安が訪れたのでした。
すべては神の君のおかげ…と、すべてそうとはいかないもので。
民の間で家康は、こざかしく立ち回り天下を掠め取った腹黒い狸とも言われているのです。
そこで有象無象の声に惑わされることなく、君の偉業を伝える必要がありました。
家康の歴史の編纂をしようと南光坊天海(小栗旬)を中心に役人たちが資料を集めているが、ろくなものがありません。
天海よ、立派な話ばかり残すというのもいかがなものか。
秀忠が天海に助言しますが天海は答えます。
世間では狡猾で恐ろしい狸と憎悪する輩も多うございます。かの源頼朝公だって実のところはどんなやつかわかりゃしねえ。周りがしかとたたえて語り継いできたからこそ今日、すべての武家の憧れとなっておるわけで。
だがのう、人は誰しもまちがったり過ちをおかしたりするものであろう。
人ではありませぬ。大権現!
「すべては、天が我らにお授けくださった神の君が、この金色の具足をまとったその日から、天下泰平のため邁進してくださったおかげでございます。我らはそれを受け継ぎ、未来永劫徳川の世を守っていかねばならぬのです」
若君様ならできまする。
福(春日局:寺島しのぶ)は乳母子の竹千代に言い聞かせようとしますが、聞いていたのは正信だけ。
当の竹千代は神の話などききたくないと絵を描いていたのでした。
本当に求めていたものとは…
病で伏せている殿の世話をしているのは、今や阿茶局だけ。
みんな、粗相をすればいかなる処罰を受けるかと怖がり、家康に近づこうとはしないのです。
そこで、正信が殿を見舞いに訪れます。
殿…わしのようなものを信用してくださり深く、深く感謝しております。わしもすぐに参ります。…殿、長きにわたりまことにご苦労様でございました。
天が遣わした神の君あるいは狡猾で恐ろしい狸、いずれにしても皆に畏れられる人にあらざるものになってしまわれた。お幸せだったのでございましょうか。
殿は幸せだったのかと涙ぐむ阿茶局に正信は言います。
戦なき世をなし、この世のすべてを手に入れた。が…本当に欲しかったもの、ずっと求めていたものは…。
そう言いながら手を合わせる正信です。
遠い未来を見据えて…
元和2年(1616年)4月17日、家康は床の上で木彫りを彫っています。
そこに風の音とともに、瀬名と信康が現れます。
父上、戦なき世とうとう成し遂げられましたな。
ようやりました。私の言った通りでしたでしょう。成し遂げられるのは殿だと。
…やってきたことはただの人殺しじゃ。…望まぬことばかりを、したくもないことばかりをして…
そこへ竹千代が上手に描けたのだと言って兎の絵を持ってきます。
存外、見抜かれているかもしれませぬな。あなたが狸でもなければ、ましてや神などではないということを。みんなも待っておりますよ、私たちの白兎を。
家康の周りは暗くなり、次に見えたのは七と彦の顔でした。
そこでは信康と五徳の祝言の日の一大事、鯉の一件が…。
それは殿と家臣の絆が固く結ばれた日でもあったのでした。
お幸せでございますな、殿。
そうじゃな…わしは幸せ者じゃな。
戦乱の世で、戦なき世のために命を燃やし尽くした家康は、この日永遠の眠りにつきました。
今、瀬名とともに戦のない世がきっとくることを信じ、遠い未来を見つめる家康がそこにいるのでした。
完
【どうする家康】第48話 感想考察
「神の君へ」
まずは、大坂夏の陣での真田信繁と家康の新しい描き方に度肝を抜かされましたね。
鬼気迫る形相で家康に向かう信繁は、まさに戦乱の世が生んだ化け物だと感じました。
ああいう血まみれ土まみれの汚い姿で目をカッと見開き挑む信繁を見ていると、これがほんとの戦なんだと思い知らされます。
戦を求める者のすさまじい最期の姿を見せられ、この物語のメッセージがおのずと伝わってくるようです。
これまでのドラマでの家康では、例えば「真田丸」での家康は逃げまどい追い込まれて切腹しようとするのを家臣に止められ、なんとか命拾いをするといったものでした。
しかし、この松潤家康はもろとも死のうと覚悟を決め、決して逃げない家康でした。
さあ、こい!と呼びこむ家康は、まるで信長が乗り移っているような錯覚に陥りました。
岡田信長が重なっているように見えたのです。これには身震いしましたねぇ。
あとで、へとへとの正信にまた生き延びてしまいましたなぁで、しっかり笑わされましたけど😂
この信繁との戦いは今までにないもので、家康のいろんな覚悟を考えると最適解だったと思います。
徳川に返され茶々と秀頼の命乞いをする千と、家康、秀忠、この三人の気持ちがそれぞれよくわかり辛くなりました。
千がいるにもかかわらず大砲を撃ち込んだ家康を、千はどんなにか憎んだことでしょう。
豊臣に行くのが嫌だと駄々をこねていた千を、何かあったら必ず助けにいくと言って送り出したのです。
家康は茶々と千、二度も裏切ったことになってしまったのです。
それでも土下座をし命乞いをする千に、とてつもない悲しみを感じてしまいます。
原菜乃華さんの演技がお芝居とは思えないほど素晴らしく、悲しみの沼へとどんどん引き込まれていきました。
家康を遮り将軍として命を下す秀忠もまた、かわいそうな男です。
千に近寄り言い聞かそうとすると、大御所様に申し上げているのだと退けられてしまいます。
将軍としての立場はもはやないに等しいのです。
家康には戦から遠ざけられ、千には相手にしてもらえない思いが、最後くらいは将軍として命をくださせてくれにいたったのではないでしょうか。
昨年同様、二代目の哀れさを感じずにはいられません。
家康は目に入れても痛くない孫娘が生きていたことを、どんなにか喜んだことでしょう。
しかし、乱世の怪物は根こそぎ連れて行かねばならぬという使命があるのです。
千が秀頼をどれだけすばらしい人物であるかを言うたびに、家康の心は真逆へと向かってしまいます。
家康とて辛くないことはありません。
心を鬼にしてでも、自分が望まないことでも、ここで豊臣を滅ぼさなければ再び戦はくり返されてしまうことがわかっているからこそやり遂げなければならない。
自分が乱世を終わらせなければという思いの強さと苦しさに、見ていて胸が押しつぶされそうになります。
手を合わせることしかできない姿が涙でぼやけてくるようでした。
炎の中で切腹をする秀頼の姿は堂々としたもので、やりきったという清々しささえ感じてしまいました。
自分の首を持って生きてくれと母に告げる秀頼ですが、家康のところへ行き自分の首を渡してあなただけでも生き延びてくれと言っているのです。
母思いのやさしさはあるのですが…
そんなことが茶々にできるはずもありません。
最後に茶々が言った言葉「日の本か、つまらぬ国になるであろう。正々堂々と戦うこともせず、万事長きものに巻かれ人目ばかりを気にし、陰でのみ妬み嘲る優しくて卑屈なか弱き者たちの国に…己の夢と野心のために、なりふり構わず力のみを信じて戦い抜く!かつてこの国の荒れ野を駆け巡った者たちは…もう現れまい。」は
現代の陰湿な日本をイメージさせられ、私たちが考えなければならないことに通ずるのではないでしょうか。
後半の己の夢と野心のためにとは、決して自己中心的なものではなく、家康のように世界をよくするための夢や野心と考えると、自分たちの小さな世界にも当てはまると思います。
このドラマのメッセージがたくさん詰まった秀逸なセリフでしたね。
天下泰平の世となれども、豊臣を滅ぼした家康には悪いイメージがついています。
それを払拭しようと活躍したのが南光坊天海(小栗旬)です。
事前のキャスト発表がなければ誰だか分からないほどの老けメイクでしたね。
小栗旬さんが演じた昨年の北条義時は、きっと演じるのが辛くなることもあるだろうなと思われるほど、どんどんどんどんダークになっていきました。
今回の南光坊天海を演じている小栗さんはとても楽しそうでしたね😄
「大・権・現!」と言った時のはつらつとした声が、もはや私たちの笑いを誘っているようにしか思えなくて😂
手に取った書物「吾妻鏡」と「源氏物語」でしっかり大河ドラマの橋渡しもしていてうるっとしちゃいました。
こういうのこれからも続くといいなぁ。
福(春日局)役の寺島しのぶさん。
最初の頃から語りは春日局ではないかと考察されていましたが、ドンピシャでしたね。
短いシーンでしたが、竹千代に手を焼いている感じがよく出ていて素敵な福でした。
余談ではありますが、寺島さんの撮影日には眞秀くんも来て、祝言の日やえびすくいのシーンも撮ったのかなと思ったりしちゃいました(≧▽≦)
病の床につき阿茶局に幸せだったのかと涙ぐまれていた家康ですが、家康の本当に望んでいた幸せとは最後のシーンに現れていましたね。
大好きな人たちと楽しく幸せに過ごすこと、最初から家康の幸せはこれしかなかったのです。
しかし、乱世に飲まれ、妻子を奪われ家臣を亡くしていくうちに、自分が戦のない世を作らなければ乱世は終わらず幸せなどありえないと腹をくくってこれまで生きてきたことでしょう。
やりたくもないことをやり望まぬことばかりやって、やっとたどりついた天下泰平の世です。
家康の人生を見ると、決して幸せだったとは言えないのでしょう。
しかし、瀬名との約束、思いをやり遂げたということを考えれば、不幸ばかりだったとも言えないのではないでしょうか。
家康が白兎のようであったからこそ天下泰平を成し遂げられたというのは、家光が描いた兎の絵から逆算して構築したシナリオだったのでしょうか?
家光の絵は知っていたけど、そこまで考えが及びませんでした。
ほんとすごい!
三回も鯉の話に触れ詳細を明かされなかった話が、最後に登場するとは思ってもみないことでした。
このまま謎のままで終わったら視聴者はやきもきしないかなと心配してはいたのですが、前回まで伏線回収がなかったので、これはこれでありなのかなと思っていたのです。
信長に贈られた鯉を食べてしまった事件。
普通なら切腹か打ち首もんですよ。
しかし、殿はそんなことはしないと信じた家臣と殿との胸熱シーンにするとは…
まことに古沢良太さんて天才脚本家ですわ!
遠い未来を見据えて願った二人の思い、戦のない世は260年間続きました。
世界的にみれば奇跡的な期間と言えるようです。
現在はロシアとウクライナの戦争やイスラエルの紛争など、世界のあちこちで戦いが起きています。
ここに今年「どうする家康」をやった意味があると思うのです。
単なる徳川家康の物語ではなく、古沢良太が脚本を書いて松本潤が演じた「どうする家康」であることの意味を私たちは映像やインタビューなどを通して、もう一度考えてみてもいいのではないでしょうか。
一年間やり通した感想考察ブログですが、大河ドラマがどれも素晴らしい作品であるのでできることだと思います。
私は基本批判的な内容は書かないようにしています。
それは大河ドラマに関わっているすべての方をリスペクトしているからです。
そしてそれは来年も変わりません。
来年の「光る君へ」は平安時代が舞台の物語。
源氏物語は読んだことがあるのですが、源氏物語の内容を描くことはないみたいですね。
平安時代の歴史に関してはまったく無知なので、まっさらな気持ちで観て素直な感想を書けていけたらなと思っています。
どうする家康感想ブログはこれにて完結。
来年からもご縁がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
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