藤原隆家が放った矢の先にいたのは花山院だった。
あわてて逃げる伊周と隆家だが、従者たちが乱闘となり死者まで出る騒ぎに。
花山院は己の保身のために、ここには来ていないことにしたいようだがそうはいかない。
中宮・定子までも巻き込む悲しき長徳の変の始まりです。
第20回人物相関図
【光る君へ】第20話 あらすじ
- 伊周、隆家兄弟は、花山院へ矢を放ったことで謹慎を言い渡される
- 藤原為時、淡路守に任命される
- まひろが書いた申文に気づく道長
- 為時、越前への任地替えを伝えられる
- 道長とまひろの真相を聞く為時
- 呪詛事件
- 伊周は太宰権帥、隆家は出雲権守へと遠流という裁定が下る
- 伊周は逃げ隠れし、隆家は腹を決め出頭
- 定子は検非違使に踏み込まれた場で髪を切り落とす
謹慎
花山院に矢を射かけ、死人まで出た事件を一条天皇に報告する検非違使別当の藤原実資。
すぐさま捕縛し取り調べしたいところだが、中宮・定子の身内ゆえ帝に伺いをたてているのです。
高貴な者の従者たちの乱暴を禁ずると厳命したばかりの出来事に、一条天皇の怒りは収まりません。
こともあろうに院に矢を放ち死者まで出すとは、許し難し!
さらにそれが勘違いによるものだとわかるや、ひとまず伊周と隆家の参内を禁止し追って沙汰するとし、定子へも身内の者に会ってはならぬと厳しく言いつけるのでした。
伊周と隆家が、謹慎を言い渡されただけでいまだ処分が下されないことに苛立ちを覚える詮子。
道長は、帝は中宮の身内に厳しいことはできないだろう、情けをもって事に当たられる帝こそ尊いのだと言うが、伊周たちを敵視する詮子には納得がいかないようです。
為時、淡路守任官
10年もの間官職につくことができず、不遇の時を過ごしていた為時が淡路守に任官されました。
祝いのためにやってきた宣孝は、寝込んでしまった為時を尻目に、若いころの為時が突然いなくなったかと思ったら、ボロボロになって帰ってきたことがあったとまひろに話します。
なんと宋に行こうとして船に乗り込み、船頭に見つかり海に放り出されたと言うのです。
真面目一辺倒な父の意外な一面を聞いて驚くまひろ。
そういう型破りなところはまひろが引き継いでいると言われ、宋の国には行ってみたいと笑って答えるまひろです。
父が越前守であったなら宋の国の言葉がわかるので役に立つはずだとまひろは言います。
除目のあとに任地が変更されることもあると言う宣孝の言葉を聞き、その夜、机に向かい墨を擦るまひろでした。
申文
たくさん届く申文に一つ一つ自分で目を通す道長。
その一通に漢詩の書かれた見覚えのある字を見つけます。
道長はすぐさま自室に戻り、文箱からまひろからの文を取り出します。
申文に書かれた為時の「為」は、まひろの筆跡そのものでした。
その直後、倫子がやってきて女院様が気分が悪いと言って臥せっていると知らせにきました。
任地替えと真相
学問に励んだ寒い夜は、血の涙が袖を濡らした。除目の翌朝、無念さに天を仰ぐ私の眼には、ただ蒼い空が映っているだけ。
蒼天は天子を指す言葉でもある。朕のことか。右大臣、なぜこれを。
恐れながら、為時は漢籍にも詳しく宋の言葉も解するようすです。
正直、源国盛に越前を任せるのはいささか心もとなく…
まひろの機転で書いた申文を道長が受け止めて帝に奏上し、為時へ突然降ってきた越前守への任地替え。
いとも乙丸もキョトンとするばかりです。
まひろと道長のただならぬ関係を感じていた為時は、ここぞとばかりにまひろに問います。
父はもう、お前の生き方にとやかくは申さぬ。…ただ、何も知らずに越前に赴くことはできぬ。まことのことを聞かせてくれぬか。
道長様は、私がかつて恋焦がれた殿御にございました。…されどすべて遠い昔に終わったことでございます。
越前は父上の力を生かす最高の国、じぶんもお供すると明るい顔で言うまひろに、それ以上は何も聞かず涙を浮かべうんとうなずく為時でした。
呪詛
悪しき気が漂っておる。調べよ。
女院・詮子の容態は回復することがなく、倫子は女房、家人らに家じゅうをくまなく調べさせます。
すると軒下から香炉に入った呪詛札を発見。
すぐに倫子は女院の部屋も調べ始めました。
あちこちから出てくる呪詛札。
中宮は私を嫌っておる。伊周は道長を恨んでおる。あやつらが私と道長を呪っておるのだ。恐ろしや…許すまじ!
この出来事を道長に話す倫子ですが、自分に任せてくれと頼みます。
屋敷内に起きたことは、私が責めを負うべきでございます。こたびのことも私が収めとうございます。
されど、女院を呪詛するのは帝を呪詛するに等しいのだぞ。
それゆえに間違いがあってはなりませぬ。
最初は解せぬ顔だった道長も、何かを悟ったらしく倫子にすべてを任せたのでした。
厳罰
倫子に任せた呪詛事件であったが、なんと伊周と隆家の調べの途中で、右大臣と女院を呪詛していたことが発覚したと実資の口から帝に伝わってしまいました。
さらに悪いことに臣下が行ってはならぬ大元帥法を行い右大臣を呪詛していた、間違いはないと言います。
聞いていた帝の顔はみるみるこわばっていきます。
女院と右大臣を呪詛するは朕を呪詛するのと同じ。身内とて罪は罪。厳罰に処せ。
兄弟の不祥事により、定子は内裏を出ることを命じられ、実家の二条北宮に移りました。
伊周は道長に会い、矢を放った罪は負うが呪詛などしてない、帝に伝えてくれと涙ながらに訴えます。
私も過酷なことは望んでおらぬ。されど…お決めになるのは帝ゆえ。
そう答えるしかない道長でした。
その夜、お上が恋しくて来てしまったという定子。右大臣が手引きをしてくれ内裏に上がることができたと言います。
どうか兄と弟の罰を軽くしてくださいませ。お情けを…。
何も言わぬ一条天皇。
定子が諦めて下がろうとした時、呼び止め抱きしめる一条天皇でした。
一条天皇が出した答えは…。
本来、謀反の罪は死罪だが、伊周と隆家には罪一等を減じされ遠流という裁定が下されました。
伊周は太宰権帥、隆家は出雲権守です。
それに伴い、伊周と隆家の代わりに、道綱が中納言に斉信が参議となりました。
中宮に里に下がれと言われたききょうは中宮のことが心配でなりません。
ききょうとまひろは民に変装し中宮の様子を見に行きます。
裁定に不服な伊周はどこへも行かぬと出てこようとしません。
外では検非違使たちが屋敷を囲んでいます。
一方の隆家は腹を決めている様子。
母に別れを告げ隆家は颯爽と出て行きました。
とうとう実資が帝の許しを得て、l検非違使たちを連れて踏み込んできました。
そこに出てきた定子は、検非違使の小太刀を引き抜き、髪を切り下してしまったのでした。
つづく…
用語集 大河ドラマ「光る君へ」第20回
散位(さんい)…位階だけで官職についていない人のこと。
省試(しょうし)…律令制において、式部省が大学・国学から推挙された者に対して行った官吏登用試験。
二条北宮(にじょうきたみや)…藤原定子の里邸。
文章博士(もんじょうはかせ)…大学寮で漢詩文や歴史を教えた教官。
引用元 大河ドラマ「光る君へ」公式ページ特集より
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【光る君へ】第20話 感想考察
今回は理解に苦しむことが多く、考察に時間がかかってしまった回でした。
考えをまとめながら疲れてきた時に見返すのは、やっぱり太郎ちゃんやいとさん!
今回癒しの時間が少しでもあってくれて良かったです😅
「望みの先に」
まず先週の予告を見て「望みの先に」という副題がいったい誰の望みで何を指しているのかということを考えていました。
本編を見て真っ先に考えられたのは、宋の国への憧れから宋人がたくさん訪れている越前への思いが抜けないまひろが、己の才覚で父に代わって漢詩による申文を書き、父の越前守への任地替えを勝ち取ったこと。(道長がまひろの筆跡に気づくというファインプレイにも胸熱❤️)
望むだけではダメで、行動力を伴ってその先が見えてくるという副題回収でした。
もう一つは、関白になることを望んでいた伊周だったが、人格や度量を持ち合わせていないために事件を起こし没落してしまう様子。
望むばかりで行動を伴わないアホの代表のような人物の、望みの先の成れの果てです。
この二つを比較すると、それぞれの望みの先に待っていたのは明るい希望と絶望の闇という真逆なものとなっているのです。
大石さんの脚本はやはり凄いとしか言えません。
人間の賢さと愚かさを同じタイトルで私たちに見せてくれているのです。
まるで私たちに深く考えさせ、心に落とし込み行動するように導いてくれているようです。
他にも、詮子や倫子、一条天皇と定子、斉信とききょう等でも考察できそうな副題で、私はいろいろ考えてしまい脳が疲労困憊してしまったのでした😵
謎が謎呼ぶ呪詛騒動
詮子が寝込んでしまった原因が呪詛によるものだという事件。
その前の詮子と道長の会話とか見てると、詮子自らが仕組んでやったことなんだろうなと思うのよ。
なんせ、兼家の血を一番色濃く受け継いだのは詮子様ですからね。
あの父にしてこの娘ありってもんで、詮子ならこのくらいやるわなって納得もんですよ。
(だからってこの行動力を持って実行する詮子のこと、嫌いにはなれないんですけど😁)
それを感じとった倫子が、女院や道長の立場が悪くならないように、(うまく収めるから)自分に任せてくれと言ったところまではわかるのよ。
はっきりと言葉には出さないけれど、道長に気づかせるところが、やっぱすごいわこの人って思わせてくれるところで…
けどね、実資が伊周と隆家を調べている過程で、彼らが祖父に命じ女院と道長を呪詛していたことがわかったって……それも天皇のいる宮中でしか許されていない大元帥法をやったと言い、証言も得ていると……え⁉︎詮子が仕組むまでもなくほんまにやってたってこと⁉︎って思ったら…
伊周が涙ながらに呪詛はしていないと道長に訴えているのを見てると、本当にやっていないんだろうなって思うんだよねぇ。
それにさ、そんなすごい呪詛なら道長にもなんか異変が生じてるだろうけど、ピンピンしてるじゃん!
詮子だってお芝居して寝込んでるわけでしょ。
やはり、この話には裏がありそうなのよね🤔
では、道長が倫子に帝には黙っておくと言った呪詛事件、いったいどこから出てきたって言うのよぉ!
この時から私の頭の中はプチパニックを起こしてしまったのです。
いくらゲスい伊周だってゼーったいに頭など下げたくないであろう道長に、あの涙を流して帝に信じてくれるように頼み込む姿に嘘はないと思うのよ。
それで疑いの目を向けたのが倫子様よ!
私に任せてくれと言っておきながら、道長の政敵の伊周を落とそうとして、わざと根回ししたのではないかと。
詮子も倫子はいい妻だが口が軽いのが難点みたいなこと言ってたしね。
あるいは詮子と最初から共謀してたか⁉︎
だとすると、これも内助の功って言うの?
いやいや違うよーっと私の心は叫んだのです。
激昂した一条天皇を見て、道長はあたふたし怪訝な顔してたしね。
もし、これが倫子が謀ったことだと知ったら…
倫子の望む先にあるものが、今の時点では道長の望むものと重なってないのが怖いのよ😨
と、倫子に疑いの目を向けていたところで、道長が安倍晴明に彼らが本当に自分と女院を呪詛したのだろうかと疑問を呈すと…そのようなことはもうどうでもいいと反閇(へんばい)しながら言うからさぁ…
またまた頭の中がプチパニックよ!
反閇とは陰陽師が邪気を払い除くため呪文を唱え大地を踏みしめ,千鳥足に歩む呪法です。
人を追い落とすために呪詛騒動に加担したため、反閇をしていたと考えると、この呪詛騒動は詮子と晴明が組んで仕組んだものなのかという思いがふつふつと湧いてきたのです。
大事なのは貴方様の世になるということときっぱり言う晴明を見ると、詮子と謀ったことだったのだという思いが強まります。
兼家とのやりとりを楽しんでいた晴明が、次に相手にしたのが詮子って考えるといろんなことが腑に落ちてくるんですよね。
何が正解なのか未だわからない呪詛騒動。
史実的にも謎が多いと言われる呪詛事件。
伊周と隆家が失脚したことで、一番得をした人は…斉信なんですけどね😓
あぁ、まだ頭の中がこんがらがってますわ😣
と言うわけで、今回は謎だらけの呪詛騒動に囚われてしまい脳内が疲弊しきってしまいました😭
身内びいきしないかっこいい一条天皇とそれにより悲しみの底に突き落とされる定子、推しを心から心配するききょうなどいろいろ思うところはあったのだけれど、何を書いても上べだけのような気がして上記二点に絞って書いた次第です。
いよいよ来週は「枕草子」誕生か。
越前編に突入し、我らが洸平さんもようやく登場となりそうなので、ワクワクしながらこの一週間を過ごしたいと思います😍
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