中宮・彰子に仕える女房の中には、高貴な身分の姫たちもいます。
彼女たちは、身分が低いまひろが一条天皇のために物語を書くという特別な役目を与えられていることに反感を持っていたのでした…。
第33回人物相関図
【光る君へ】第33話 あらすじ
- まひろは藤式部とよばれるようになる
- まわりのあわただしさのため執筆できぬまひろ
- 道長に頼み一旦里下がりし、執筆に集中する
- 彰子とのわずかな会話で彰子の内にある思いを感じるまひろ
- 除目で対立する帝と道長
- 道長は国の行く末を憂い正しき政を帝に諭す
- 物語の続きを帝に献上
- 一条天皇は心に染み入ったと言い皆に読ませたいと
- 興福寺の別当・定澄が訪ねて道長を脅しにかかる
集中できぬ「藤式部」
今日からそなたを藤式部と呼ぶことにいたす。そなたの父はかつて式部の丞蔵人であったであろう。…中宮様の御為にともに尽くしましょうぞ。
まひろは「藤式部」という呼び名と、執筆のための房を与えられ、早速仕事に取りかかります。
しかし、ほかの女房たちが彰子の身の回りの世話や内裏の公卿との取次ぎのため、あわただしく動いているために集中できません。
そこへ公任と斉信がやってきます。
左大臣様にそなたを推挙したのは中納言殿だぞ、知っておるか。
左大臣様に伺っております。ありがとうございました。
何かあれば中宮大夫の俺に申し出るがよい。
何かありそうなのでございますか。
斉信はここにいる女房たちは、高貴な姫ばかりだが頼りにならぬと言います。
見栄えはしても鈍いのは困ると公任も言うのです。
私のような地味でつまらぬ女は己の才を頼みとするしかございません。左大臣様のお心にかなうよう精いっぱい励みます。
この日は、夜遅くまで執筆を続けたのち床に就いたのだが、大きないびきをかく者や寝言を言う者がいてよく寝付けませんでした。
翌朝は早くから女房たちが忙しく仕事をはじめるので、まひろも知らぬ顔はできず、慣れないながらも女房たちを手伝います。
夜になって、筆をとるころには疲れ果ててしまい、思うように物語を書き進めることができませんでした。
このような日が続いたため、まひろは道長に、実家に戻って執筆したいと申し出ました。
道長の賭け
道長は、自分の直盧にまひろを呼び言います。
断固として里に下がるのを拒否するのです。
帝は、続きができたらお前に会いたいと仰せだ。お前の才で帝を藤壺に…頼む…
道長は、一条天皇の心が伊周に傾いていることを危惧しているのです。
伊周の復位は敦康親王の後見を見据えてのものであり、彰子がこのまま皇子を産まなければ、権力は伊周が握ってしまう恐れがあるのでした。
私が書くものに、まことにそのような力があるのでございましょうか。
分からぬ。されど俺にはこれしかないのだ。賭けなのだ。
まひろは、帝に献上した原稿に手を入れ、続きも書き足していました。
さらにその先の構想も練っており、必ず実家で続きを書いて届けに来ると約束すると、道長はしぶしぶそれを受け入れたのでした。
彰子との会話
藤壺を去る前に、まひろは彰子に挨拶に行きます。
周りに女房たちはおらず、二人だけで言葉を交わしました。
お寒くございませんか。炭を持ってこさせましょう。
私は冬が好き。
彰子が自分の意志を示すのをまひろは初めて目にします。
この日、彰子は薄紅色の着物を着ていました。
女房たちは、彰子は薄紅色が好きだと言っていたが、本当は空のような青色が好きだと言うのです。
長く話すことはできなかったが、去り際に彰子はもの言いたげにまひろのほうを見つめるのでした。
不穏な陣定
何度も土地を巡り一族と合戦を起こした平維衡を伊勢守にすることに断固として道長は異を唱えます。
そのような者を国守とすれば、たちまち戦乱の世となり、国が乱れると考えるのです。
しかし、これは一条天皇が望んだことなので、誰も反論できないでいたのです。
それでも道長は、すべては些細なことから始まると言い、除目の大間書には伊勢守の名は入れずに除目の陣定は終わりました。
しかし、何者かによって伊勢守の欄に平維衡の名が書き加えられていたのでした。
もはや、どうすることも出来ぬ道長は、平維衡を任じるが速やかに交代させたいと一条天皇に申し出ます。
間違った判断をした一条天皇の政に傷がつかぬうちに取り消さねばならぬという道長に、さほどのゆゆしき過ちをしたとは思えぬと答える一条天皇。
道長は初めて国の危機となりえる状況を一条天皇に説明します。
国司となり得る者たちが弓矢をもっぱらとするようになればどのような世になるか。
朝廷をないがしろにする者が現れ、血で血を洗う世となってしまう。
そうならぬよう導くのが政だと諭すように話しました。
これにより、かたくなだった一条天皇も折れ、伊勢守を交代させるよう命じたのでした。
光る君
わずか8日で実家に戻ってきたまひろを惟規はいじめられたのかと心配します。
高貴な人ばかりでそんな人はいない、また戻るかもしれないと言うまひろに、わかりにくい女だとずばっと言い放つ惟規です。
すぐにまひろは執筆を始めました。
そして、書いたものを惟規といとに読み聞かせます。
おもしろいよそれ。大勢の男と睦んだわけでもないくせに、よくかけるねそんなの。
あけすけに言う惟規に、睦まなくても書けるのだと答えるまひろです。
あのぉ、そのような下品な殿御たちのお話、帝がお喜びになりますでしょうか。
中宮様はうつけなのかと問う惟規に、まひろはうつけではなく奥ゆかしいだけと憤ります。
そして寛弘3年(1006年)5月、まひろは物語の続きを届けに再び藤壺を訪れました。
まず、彰子に挨拶に行くと、彰子も物語を読みたがったので、まひろは手短に話の設定を聞かせました。
ある天皇の御代、深い寵愛を受けた更衣が皇子を産んだ。皇子が3歳のとき、更衣はほかの女御たちの嫌がらせで病み亡くなる。天皇は忘れ形見の皇子を宮中に呼び寄せた。美しく賢く、笛の名手でもあるその皇子が、物語の主人公だ。
帝みたい。その皇子の名は?
嬉しそうに尋ねる彰子に、まひろが答えます。
あまりにも美しかったので、光る君と呼ばれました。
一条天皇との再会
まひろは道長を介して物語の続きを一条天皇に献上しました。
するとその後、一条天皇はまひろに会いに藤壺を訪れました。
彰子と道長も同席し、まひろは一条天皇との再会を果たしたのです。
光る君とは敦康か?
内緒にございます。
あの書きぶりは朕を難じていると思い腹が立った。されどしだいにそなたの物語が朕の心に染み入ってきた。まことに不思議なことであった。朕のみが読むのはおしい。皆に読ませたい。
はい。物語は女子供だけのものではございませぬ。中宮様にもお読みいただければ、この上なき誉にぞんじます。
後日道長は、まひろへの褒美にと扇を贈りました。
そこには、かつてまひろと三郎が川べりで出会った際の様子が描かれていたのでした。
興福寺の脅し
この年の7月、土御門殿に興福寺の別当・定澄が訪ねてきました。
定澄は道長に、興福寺の僧兵三千人が木幡山に集まっていると告げ、自分たちの訴えを聞き入れるようにと迫ります。
それが成らねば、この屋敷を取り囲み、焼き払いたてまつります。
道長は怯むことなく、定澄を見据えます。
…やってみよ。
つづく…
用語集 大河ドラマ「光る君へ」第33回
大饗(だいきょう)…大きな饗宴。二宮大饗(にぐうのだいきょう)と大臣大饗(だいじんのだいきょう)とがある。二宮大饗とは中宮と東宮の二つの宮の大饗をいい、1月2日に行われる。大臣大饗は正月と大臣任官時に行われる。
大間書(おおまがき)…除目(じもく)のときにつくられる文書の一つ。欠員の官職名と任官候補者名を列記したもの。
室礼(しつらい)…室内の一部を障子、几帳(きちょう)、屏風(びょうぶ)などで隔て、帳台、畳、茵(しとね)を置き、厨子、二階棚、衣架、そのほか、身辺の調度類を設け整えたり飾り付けたりすること。
平 維衡(たいらのこれひら)…軍事貴族。伊勢国鈴鹿郡・三重郡を勢力圏としつつ中央政界でも活躍し、伊勢平氏の祖とされる。
『物名歌』(ぶつめいか)…歌のなかに物の名前を隠し入れた歌。
引用元 大河ドラマ「光る君へ」公式ページ特集より
【光る君へ】第33話 感想考察
「大勢の男と睦んだわけでもないくせに、よくかけるねぇそんなの」
あけすけな物言いだけど、凡人の太郎ちゃんからしたら最大限の誉め言葉なのですよ。
そんな経験もしたことないのに、すっごいもん書くなぁ姉上は。
やっぱり俺じゃ太刀打ちできないわって思って言ってるのよきっと。
だっておもしろいって言ってるからね。
思ったことをズバッと言ったり、照れ隠しでわざとあけすけな物言いしたり、憎めない愛されキャラの太郎ちゃんが大好きよ❤
一条天皇と道長
除目で伊勢守を平維衡にするかどうかで、対立することとなった道長と一条天皇(or右大臣)だが、本当に国の未来を考えて政を行ってるのって道長だけってのが露呈しましたね。
右大臣が帝のお望みって言ってたけど、自分の推挙ってのは一目瞭然。
一条天皇はただ道長に反抗したいだけに見えるんだよね。
国守なんて誰だっていい、ただ敦康親王のために道長の力を削いで、定子の実兄の伊周を敦康の後見人にしたいがための反抗。
そして、帝の考えが間違っていようとも(いや、道長の考えを聞くまで間違っていることすら気づいていないのかも…)実資ですら異を唱えることができない公卿たち。
これじゃあね、道長が最高権力者になるのも当然って感じよね。
一条天皇に進言する道長は、今までで一番かっこよかったわ!
怒ることが嫌いだった三郎が、公卿たちの前では声を荒げ政を正そうとし、一条天皇と相対した時は怒りを鎮め懇々と諭す。
人として誰よりも格が上なのを見せつけてくれて、ヒリヒリとするシーンとなりました。
そういえば、平維衡って平清盛の祖先となる人よね。
結局は武士の時代、戦乱の世が来るとはなんと因果なものなのでしょう。
彰子の心
一条天皇が読んだ物語を読んでみたいと言う彰子は、火事で助けてくれた一条天皇のことを気になっているようですね。
奥ゆかしい彰子の初恋とも言えるのかな。
そんな彰子が、寒くないか炭を持ってこようかと言うまひろに「冬が好き」と初めて心の内を明かします。
また、皆が彰子は薄紅色が好きだと言っていたが、本当は青が好きなのだとも。
内裏では、女房たちがすべてのことを事前に行ってしまうので、自分の気持ちを出せることができなかったのでしょうね。
寒いから中へ入り下さいと言う女房たちと違って、炭を持ってこようとする藤式部に、他の女房と違う感覚を覚えたのではないでしょうか。
敦康親王に内緒でお菓子?を渡した時の屈託のない笑顔がステキで、源氏物語を読んで一条天皇と感想を交わした時の笑顔を想像してキュンキュンしてしまいましたわ。
早く一条天皇との仲睦まじい姿を拝見したいものです。
そして、さすが物を書くクリエイターとしての洞察力が鋭いまひろが、彰子の内にある溢れそうな感情や思いを言葉として出してもらうために、藤壺の女房として戻るというところに、熱いものを感じました。
まっすぐに気持ちをぶつけてくる惟規や賢子と違うから、何か感ずるものがあったのでしょうね。
興味を引かれたというか。
藤式部によって、どのように彰子が変わっていくのかが今後楽しみですね。
出会いを描いた扇
帝の心を捉えた物語を書いたまひろへの褒美として道長が渡した扇が、二人の出会いを描いたものだった時のまひろの感動の表情を見ると、今までの辛かったこと悲しかったことすべてが報われたような気がして涙が出てきました。
道長はあの時を決して忘れていないと思うだけで、嬉しいものですよね。
そして、道長は最上の愛を表したのだと思います。
もはや、二人には体の関係なんて必要のないもので、心と心が繋がっていればそれでいいのだと思っているんではないのかな。
そして、根っからのクリエイターのまひろは、その扇によって当時を思い出し、物語の中で若紫と光る君との出会いに投影してくのですね。
扇の絵の中に鳥が飛んでるのを見た時には、ゾクゾクさせられましたわ。
興福寺の僧兵たちが集まり、何やら朝廷に訴え、道長を脅すようなラストでしたが、来週からどうなっていくのでしょうか。
伊周の不吉な笑みをたたえた顔も気になります。
政治的なことがたくさん出てきて、私としてはワクワクゾクゾクが止まりません😆
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