徳川家康が、上洛を決意したのは、1586年(天正14年)のこと。
家康の意向を知った豊臣秀吉は、母の大政所こと仲を人質として岡崎へ送るのでした。
【どうする家康】第35話 あらすじ
10月18日、旭や大久保忠世、井伊直政が待ち構えるなか、大人数の家来と侍女に囲まれて到着した仲(高畑淳子)は、見るからに不機嫌そうな顔をしています。
人質・大政所
母様…
腫れ物に触るように、旭が声をかけます。
おお…旭、来てくれたんか。なげーこと輿に揺られて、わしゃ脚が悪いっちゅうに。こんなところに老いた母親を追いやるなんて。
大政所様、お待ち申し上げておりました、大久保忠世にございます。
忠世が自慢の美声で挨拶するも、仲は忠世には目もくれません。
仲が興味を示したのは井伊直政でした。
しかし、直政はまったくの不愛想で、顔を背けています。
仲は、媚びない美青年に惹かれるようにして、岡崎城内に入って行きました。
関白秀吉との謁見
仲が岡崎城に入った少し前の10月14日、家康は浜松を発ちました。
お供は、酒井忠次、本多正信、榊原康政、鳥居元忠です。
秀長が一行をねぎらったあと、不意打ちで秀吉がやってきます。
よう来てくれたのう!
いつものように、涙を浮かべながら言う秀吉です。
左様な芝居はなしにしましょう。
冷めた口調で言い放つ家康を見て、このような芝居は家康には通用しないと悟る秀吉です。
寧々を呼び入れ、酒井忠次はじめ徳川家臣たちを次々に紹介します。
寧々はすでに知っている様子で、秀吉との連携プレーも見事につつがなく対応します。
のう家康殿、わしらはもう敵ではねえ。おめえさんの息子をわしはもらい、わしの妹をおめえさんはもらった。つまりわしらはもう一つの家だわ。…おめえさんの家臣もわしの家臣!酒井も本多も榊原も鳥居もみーんなわしのもんだわ!
家康と左衛門尉は不快に感じながらも、愛想笑いを浮かべるのに対し、小平太と彦衛門はあからさまに顔に出してしまいます。
その後、秀吉は飲んで騒いで広間で酔いつぶれて寝てしまいます。
まことにお恥ずかしい限り。夫がここまで羽目を外したのは久しぶりでございます。お呆れになったことでしょう?
いいえ…
寧々に気づかい表情を和らげる家康です。
人を知るには、下から見上げるべし…兄は昔からそう言っとりました。
人は自分より下だと思う相手と対する時、本性が現れる。
それゆえ秀吉は、みっともない訛りを使い、卑しき振る舞いをし、常に一番下から相手の本性を見極めていると秀長は言います。
そして、こうも言っておりました。信用できると思ったのは二人だけ…信長様と徳川殿…お二人とも裏表がないと…信長様が目指したものを受け継げるのは、今や兄と徳川様しかおりませぬ。
秀長は家康をまっすぐ見据え続けます。
だから兄は、徳川殿が来てくださって、心の底から嬉しかったのでごぜーます。天下一統したいという思いは兄も同じ。どうぞ末永く支えてやってくだされ。
家康は、寝ている秀吉に話しかけます。
殿下が人たらしと言われる秘訣がわかりました。秀長殿に北政所様、よいお身内をお持ちでございますな。
起きておいででござろう?
酔いつぶれているように見えた秀吉は、耳をそばだて一部始終聞いていたのでした。
おめえさんにはかなわんわ。
ご安心めされ。この家康、殿下を支えると決め申した。もう殿下に陣羽織を着させぬ覚悟。
一瞬、首をかしげた秀吉だが、すぐに家康の言葉の意味をくみ取りました。
おお、そりゃええ!明日は一同の前でそれやってちょーでえ!
一芝居
翌日、大坂城の大広間に諸大名が勢ぞろいしました。
家康は左衛門尉を供に広間に入り、秀吉にひれ伏し挨拶します。
徳川三河守家康、関白殿下のもと天下一統のため励みまする。ついては、殿下の陣羽織を頂戴いたしとうございます。
な〜に〜!この陣羽織をとな?ならぬならぬ。余は関白であるが武将でもある。戦場で陣羽織はかかせぬ。
秀吉は芝居かかった口調で拒否します。
この家康がいるからには、二度と殿下に陣羽織は着させませぬ。
家康も負けじと応えます。
皆聞いたか、この家康が二度と余を戦場に行かせぬと申しておる!あっぱれ武士の鑑である!
一連の応酬は昨晩打ち合わせた通りのものでした。
秀吉は家康との関係が強くなったことを示すため、家康に一芝居打ってくれるように頼んだのです。
作戦は成功したものの、家康の家臣はおもしろくありません。
殿にまでつまらん芝居をさせおって。
直政がいたら暴れていたかもしれん。連れて来んでよかった。
だが、なにゆえ直政とわしが取り換えられたんじゃろうな。
首をかしげる彦衛門に正信が取り繕って答えます。
旭様が彦殿と直政を取り換えてほしいと申されてな。…殿のおそばに彦殿がついていなければならんということじゃろう。
気を良くする彦衛門だが、真実は直政を気に入った仲が片時も離さなかったからなのでした。
直政と仲と薪
直政を片時も離さない仲は、食事も一緒にとり魚の骨を取ってやるほどの執心ぶりです。
直政殿、あれは?
庭先で、直政の家来が屋敷の周りを埋め尽くすのではないかと思うほどの薪を積み上げています。
寒くなってまいりましたから、薪に困らぬようにと。
直政は気が利くのう。
仲は素直に受け取るが、忠世は直政に目配せし部屋を出ます。
なんの真似じゃ?
大坂の殿の御身に何かあれば、あれに火をつけて婆さんを焼き殺す。
やりすぎだろうと言う忠世に、人質の役目とはこういうものだと殺気をぎらつかせる直政です。
表裏比興の者
祝いの儀をつつがなく終えたところだが、秀吉は不機嫌です。
この場に来なかった大名がいるからです。島津と北条です。
自分は島津を叱り飛ばしてくるから、家康に北条へ軍勢を差し向けろと命じます。
ただ殿下、そのためには厄介ごとが残っておりまして…(真田が)相変わらず、北条に与えた沼田領に居座ったまま、一向に言うことを聞きませぬ。
真田は徳川の与力、しかと飼いならせ。
秀吉は真田に対して徳川に従属するようにと言い渡していたが、真田は徳川の配下だとは思っていません。
ま、真田は表裏比興の者だでな。
表と裏を使い分けるくせ者。我らも手を焼いておりまする。
と、秀長は言うのでした。
星が導く運命の出会い
家康が大坂を発つ前夜、一人の男に出会います。
あの方は何を?
ああ…豊臣家臣一の変わり者でござる。常に忙しくあちこち立ち回っておって、我らもなかなか会えませぬ。
秀長にそう言われると、人は会ってみたいと思うもの。
家康は近づき声をかけます。
何か見えますかな。
星が見えまする。
男は、南蛮では星に神々の物語を見出すと聞いて眺めていると言います。
家康や家臣たちも興味を持って星を眺めます。
この世は、丸い玉のような形をしているのだと言います。
聞いたことがあります。にわかには信じがたいが。
古い考えに凝り固まっていては、ものの真の姿はつかめませぬ。政もまた、新たなる考え方、新たなるやり方が求められていると存じます。
確かにその通りじゃ。
気が合いそうでござるな。いずれのご家中のお方で?
嬉しそうに秀長に訊ねると…
たあけ、徳川権中納言殿じゃ。
こ、これはご無礼を!豊臣家臣、石田治部少輔三成でございます。
ああ、そなたが切れ者と噂の。
星に導かれた、徳川家康と石田三成の運命の出会いとなるのでした。
真田父子からの難題
12月4日、家康たちは新天地・駿府城へと移りました。
1587年(天正15年)3月18日、真田昌幸、信幸父子がやってきます。
秀吉に命じられて、重い腰を上げたのです。
真田殿、いろいろ行き違いがござったが、こうして参じてくださったのは実に結構なこと。しからば沼田の地、北条に明け渡してくださいますな?
昌幸は笑みを浮かべるだけで答えません。
お耳がお悪いのかな?
答えよ!
昌幸はようやく口を開きます。
徳川殿にはこれまでも幾度となく同じことを言われ、そのたびに同じお答えをして参りました。が、今もまたこうして同じことを。これはおそらく徳川殿というお方は言葉がおわかりにならぬのだと。
昌幸の答えに激昂する忠世を家康が制します。
家康である。言葉は人並みにわかる。改めて聞く。なぜ沼田を渡してくれぬ?
昌幸は家康の背後にある壺を見て、信幸に向かい、そなたにやろうと人を食ったような態度で言います。
おぬしのものではなかろうが!
おお、皆様もご存じであったか。自分の物でない物を人にやることはできぬということを。
沼田は我らが切り取った物。徳川殿が北条に差し上げることはできませぬ。
屁理屈を言う昌幸に正信が、真田は徳川の与力なのだから従わなければならないと諭しても出来ぬの一点張りです。
関白殿下の指図だと言っても、容易く関白殿下のお名前にすがるのは格を落とすことぞと口の減らない昌幸に、正信もたじたじです。
初めてお目にかかったが、噂通りおもしろき御仁よ。わかった沼田のことは、わしも落ち度があったと思う。代わりの領地を与える。それでどうじゃ?
ありていに申せば、我らが徳川殿を信用できぬということで、一度踏みにじられておりますでな。
ならば何を望む?
昌幸は信幸の方を向き言います。
いかがでござろう?これの妻に、徳川殿の姫君をいただくというのは。
あいにく、殿には年頃の姫がおりませぬ。
ならば、ご重臣の姫君を徳川殿の養女にしていただく形でも、こちらはかまいませぬが。
考えこむ家康。すぐには返答できません。
重々しい空気が流れている頃、居室では於愛と侍女たちが花を活けていました。
その中には、平八郎の娘・稲(鳴海唯)がいます。
そばで平八郎に見張られ緊張しながら、花を活けているのです。
課題を残し帰っていった昌幸、信幸父子。
この後、家康と真田父子は宿命の関りを持っていくことになるのでした。
つづく…
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【どうする家康】第35話 感想考察
「欲望の怪物」
家康も上洛し豊臣の臣下にくだり、天下一統を目前にしても秀吉の欲望は尽きません。
日本以外にも目を向ける秀吉ですが、その言葉を聞いた時の秀長は驚きと不安が入り混じったような表情でしたね。
秀吉の恐ろしさを一番感じ取っているのは、仲さんかもしれませんね。
「ありゃ何者じゃ、わしゃ何を産んだんじゃ」と話す言葉には、これから秀吉が辿る運命への恐怖が感じられます。
瀬名もそうでしたが、子供のことを一番よくわかっているのは母なんですよねぇ。
そして母に恐怖を与えるムロ秀吉の演技にも、さらにサイコパス感が増してきたようです。
とはいえ、今回特にムロさんと松潤遊んでましたよね😄
クールポコなみの「な〜に〜」から始まる陣羽織の一連のくだりは、クスクス笑いながら見てましたよ🤣
ムロさんと松潤楽しそうだな〜って❗️
また、松潤は親友である中村七之助(石田三成)との演技も楽しそうでした。
関ヶ原で戦う相手となる二人の出会いを、星を絡めてこんな素敵に描くなんて…
三成の死は地獄回決定ですね😭
出会いの回想シーンなんかを散りばめながら描いて、視聴者の号泣をさらうんでしょうねえ😭
すでに妄想して、涙がちょちょ切れそうです😅
浜松城から駿府城へ引っ越す前に、民に挨拶していく家康は素敵でしたね。
自分を笑いのタネとした者たちを笑って許す懐の大きさが際立って、戦っている時よりも数段かっこよく見えました❣️
物語も後半に突入し、狸と猿の化かしあいがどうなっていくのか。
その前に、来週の於愛の悲しい表情が気になるところです。
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