御所柿はひとり熟して落ちにけり 木の下にいて拾う秀頼
大御所(家康)は高齢なので、何もしなくともいずれ豊臣秀頼の天下になる。
世間ではそんな風刺の効いた詩歌がはやっていました。
【どうする家康】第46話 あらすじ
しかし、柿が熟して落ちるのをただ待つことにじれたのだろうか。
方広寺大仏開眼供養を翌月に控えた慶長19年(1614年)7月、その事件は起きました。
見事な一手
家康の名を首と胴に切り分け、豊臣を主君とする世を楽しむ。明らかに呪詛の言葉でございます。
問題となったのは、大仏殿の鐘に刻まれた「国家安康 君臣豊楽」という銘についてでした。
儒学者の林羅山(哲夫・笑い飯)と臨済宗の高僧・金地院崇伝(田山涼成)らも呼び寄せられ意見を言い合います。
しかし、徳川がいくら指摘してもいいがかりだと突っぱねるだろう
これを見逃せば豊臣はますます力を増大させてしまう。されど処罰すれば、徳川は豊臣を潰すために卑怯な言いがかりをつけてきたと見なされ、世を敵にまわす。
う〜ん実に見事な一手。
当代随一の知恵者が集まりながら、これを阻止する手だてが見つからないのです。
家康はなんとかして戦を避けようとしてきたが、向こうにその気がないようでは…。
…腹をくくられるほかないでしょうな。
何ゆえこうまでして天下を取り戻そうと…。
疑問を呈す秀忠。
倒したいんじゃろう…このわしを。
家康の要求
秀頼の大阪からの退去、国替えを拒むなら秀頼を江戸に参勤させるか、茶々を人質として江戸詰めにするか、いずれかを選べと家康は要求してきたのです。
さような求め、どれひとつ受け入れられるわけがない!
怒りに震える茶々です。
加藤清正ら豊臣恩顧の古参の家臣たちは相次いでこの世を去り、片桐且元だけがかろうじて徳川と豊臣の仲をつないでいるのでした。
これは徳川の謀略である。豊臣を潰す言い訳にほかならぬ。…断じて許すべからず!
大野治長が怒りをあらわにします。
修理!こうなるとわかってあの文字を刻んだな!…戦をして豊臣を危うくする気か!
片桐もまた、声をあらげて反発します。
徳川にしっぽを振って豊臣を危うくしているのはお手前であろうが!
修理は片桐の家康への内通を疑い、目の上のたんこぶを亡き者にしようとたくらんでいるのでした。
決心
豊臣は徳川の要求に応じる気はなく、上方ではすでに戦の気配が高まっています。
関ケ原で敗れた武将たちが、続々と集まってきているのです。
その中には今は常真と名乗る織田信雄も…。
片桐が大坂から離れた?
騙し討ちにされるところを織田常真が危機を知らせ、間一髪で助かったと正純は報告します。
これで我らと話し合えるものが、豊臣にはいなくなった。
これが豊臣の返答。
とうとう始まるのですね…。
阿茶も憂い顔です。
諸国の大名に大坂攻めの触れを出せ。
家康はさらに大筒の用意も命ずるのでした。
一人甲冑を眺める家康のもとに正信がやってきます。
年寄りがこんなものつけて、笑われんかのう。
重さで腰が折れんよう気をつけなされ。
お前も出るんじゃぞ。
膝をさすり逃げようとする正信だが、家康にわしとてあちこち痛いと言われあきらめ顔です。
秀忠様は、ご自分が総大将として全軍を率いると仰せです。されど、本音はお千様のことを案じておられるものと。秀忠様にお任せしてみては。
秀忠は…戦を知らんでよい…人殺しの術など…覚えんでよい。この戦は、徳川が汚名を着る戦となる。
信長や秀吉と同じ地獄を背負ってあの世へ行くのが、最後の役目だと覚悟している家康です。
…それがしもお供いたしますかの…こっちはもともと汚れきっておりますもんで。
かつて主君を裏切り命まで狙った男が、盟友となり最後のときまで隣にいようとは、当人たちでさえ夢にも思わなかったことでしょう。
一人になり、何事かを考えている顔で「南無阿弥陀仏」と記す家康です。
大坂冬の陣
大坂は反徳川の牢人たちであふれ返り、全国から十万を超える兵が集まっています。
その中には、大谷吉継の息子の大谷吉治、黒田家家臣の武闘派・後藤正親(又兵衛)、宇喜多家家臣・明石全登、赤備えの真田信繁、関ケ原で活躍した豪将たちがそろっていました。
世を欺いて天下をかすめ取った卑き盗人が、言いがかりをつけ豊臣を潰しにきた。かような非道、許されてよいものか。…今この時、徳川家康を打ち滅ぼし、天下を我らの手に取り戻そうぞ!
豊臣のもとへ集まってきた兵たちを鼓舞する茶々です。
一方、徳川方は総勢三十万に及ぶ大軍勢で大坂へ進軍します。
慶長19年11月、大坂冬の陣の始まりです。
家康は大坂城の南一里ほどにある茶臼山に本陣を敷きました。
徳川方には、豊臣家臣だった片桐且元や上杉景勝も参陣したが、戦経験のない若い兵が多く、指南役の渡辺盛綱も苦労しているようです。
軍議の場で戦略を述べようとする秀忠を家康は制します。
秀忠、指図はすべてこのわしが出す。そなたはそれに従え。よいな。この戦の責めはすべてわしが負う。
北風が吹きすさぶ中、大坂城の周辺で戦闘が始まります。
そのすべてで数に勝る徳川勢が勝利を収め、大坂城は完全に包囲されることに…。
しかし、豊臣が話し合いに応じることはありませんでした。
大坂城は秀吉が築いた難攻不落の名城だが、平坦な台地が続く南だけが弱点でした。
それを見越した真田信繁は、南側に出丸を設けました。有名な真田丸です。
乱世を泳ぐは… 愉快なものよ。
徳川兵は真田丸を攻略しようとしたが、逆に鉄砲隊の餌食となってしまい、甚大な死者を出してしまいました。
何十、何百と「南無阿弥陀仏」を書き続ける家康。
正信、あれを使うことにする。
これ以上長引くと不利な展開です。
大筒を使うことを決めた家康に秀忠は納得いきません。向こうには娘の千がいるからです。
主君たる者、身内を守るために多くの者を死なせてはならん。
やむなく、三浦按針に調達させた大砲で、大坂城本丸へ集中砲火を開始します。
武力の差を見せつけ、やれば負けると思わせるためでした。
父上…やめてくだされ…こんなの戦ではない…やめろーっ!!
これが戦じゃ…この世でもっとも愚かで…醜い…人の所業じゃ!
つづく…
【どうする家康】第46話 感想考察
「大坂の陣」
老体をやっとこ動かす家康と正信。
70を超える二人がこんな歳になっても甲冑の前で、戦に向かおうと気張る姿に二人の深い信頼が見えてウルウルしてきます。
その前に老人特有の体のあちこちが痛いというネタを挟んで笑いをとってからの、信長や秀吉と同じ地獄を背負う覚悟を見せる家康にお供しますという流れ。
最後は嫌な連れじゃ、でしょうなというオチまで、松潤と松ケンの演技が素晴らしすぎて…🥹
どっから見ても70過ぎのご老人にしか見えない所作がホンマすごいわぁ。
そして、この1シーンだけで涙も笑いも入れ込むって…古沢さんの天才ぶりには何度も舌を巻かされるわ😳
秀頼はホントは戦などしたくないのよね。
千姫に本心を聞かれた時も、自分は豊臣秀頼なのだと言って、豊臣に生まれてきた運命なのだと諦めていたようでした。
大坂に集まった兵たちを涙を浮かべて鼓舞する千の姿を見て、秀頼の心も泣いていたことでしょう。
実家と嫁ぎ先の家との戦で心が穏やかではない千姫に、こんな辛い思いをさせてしまってってね。
作間龍斗さんの横顔の表情が切なさを増してくるのよぉ😭
けれど、豊臣を慕って集まってくる牢人たちも無碍にはできない主君としての辛さ。
いや、この年で主君としての振る舞いを心得ている秀頼ってやっぱ凄いのよ!
そんな少し影をまとった作間さんの演技が素敵すぎます。
大坂の陣といえば、主役はやはりこの人!
真田信繁。
日向亘さんの声質が「真田丸」の時の堺雅人さんの声に似ていて、ドキッとさせられました。
もともと似ている声質なのか似せてきたのか…
真田信繁という人物を1年間演じてきた堺雅人さんの信繁は、皆の心に焼き付いて離れないものでしょう。
そこをあえて狙ってきたのではないかと思わせられる発声…視聴者としては…嬉しい日向さんの信繁でした😊
大砲を放ち一度に大量に死者を出すやり方に、こんなの戦ではないと言う秀忠。
かつて長篠の戦いで、兄・信康も同じことを言っていました。
信長の鉄砲を用いた戦を目の当たりにして、心を痛めていましたね。
ここでかつてと違うのは、大砲の先には身内である千姫がいるということ。
秀忠にしてみれば信康以上にたまったもんじゃないですよね。
泣きながらやめろという親としての気持ちが痛いほどわかります。
長篠の戦いの時の家康も信康同様ショックを受けていたわけだけど、立場は人を変えるものです。
これまで艱難辛苦を乗り越えてきた家康は、主君としての立場で物事を見なければならないのです。
目の中に入れても痛くないほど可愛がっていた孫です。
家康だって辛くないわけじゃありません。
しかし、身内のために兵を死なせるわけにはいかない。
主君としての苦肉の選択なのです。
孫を殺めてしまうかもしれないという心を律するためなのか…もっとも醜い人の所業である戦で死にゆく者へのせめてもの最後の償いか…何行も書かれた南無阿弥陀仏の文字に、戦をしなければならない家康の悔しさや無念さや償いの感情が押し込められていて、心が潰れるような思いが押し寄せ苦しくなってきました。
千を庇って材木の下敷きになってしまった茶々ですが、徳川の出である千だが、子供の頃から育ててきた娘のようなものです。
親心が宿っていたとしても不思議ではありません。
それに妹・江が産んだ子ですからね…
最近では怖い怖い女狐のようなとこばかりだったので、茶々に人としての心が垣間見えて、ちょっぴりホッとした場面でした。
とうとうラスト2話。
寺島しのぶさんの春日局役も発表され、あとは最終話小栗旬さんが何役で出るのか気になるところですが、もうすぐ終わってしまうのねという寂しさも押し寄せてきます。
ですが、この素晴らしい「どうする家康」という珠玉の作品を最後までじっくり味わっていきたいと思います。
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